北国青森でりんご農家として生計を成り立てるには、雪との闘いは避けて通れません。
それでも雪は身近で、幼い頃から祖母が家庭菜園で育てたキャベツや白菜等、冬期間の食糧として雪の中に埋めて小出しに掘り出して食べていることを、何となく知っていました。
沖揚平は、高冷地野菜で有名な産地です。
農家仲間である(有)サニタスガーデンの社長の山田さんが、以前から雪室じゃがいもに挑戦していることは知っていました。
山田さんの農場は、我が家からずーっと登り坂を車でひたすら20分走った、沖揚平(おきあげだいら)にあります。
(※雪室(ゆきむろ)とは、雪を利用した天然の冷蔵庫です。 温度・湿度の変化が少なく、低温で長期貯蔵ができます。)
沖揚平は、豪雪地帯で有名な酸ヶ湯温泉から10分ほどの場所で、高冷地野菜で有名な産地です。
朝霧がすごく、まるで雲の上で仕事をしているようなところです。
ある日、山田さんから「じゃがいもの芽出しを少しでも抑えたいから、りんごも一緒にいれるかい?」という相談を受けました。
(※ジャガイモの芽出しには有毒物質のソラニンが含まれていて、りんごが体から放出されるエチレンガスがじゃがいもの芽出しを防ぐことは古くから言われてきました。)
雪室の中の素朴なじゃがいもは、凍るまいと自ら体に蓄えるデンプンを必死で糖に変え甘くなります。
八甲田山麓の沖揚平の雪の中に埋めて熟成させるりんごは、みずみずしさと、凝縮した甘みを楽しめるのが一番の特徴です。
良質な八甲田の雪室の中の環境は、温度が0℃と一定なことに加え、常に湿度90%以上を保ち、りんごにとってはこの上ない環境です。
初めての試みですので3月に掘り出してみるまでは結果がわかりません。
そのあたりも加味した上で、出来上がりを楽しみにしていただけると幸いです。